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情報提供:「妊娠中のMRI検査の胎児期、幼年期への影響」論文の紹介

Association between MRI exposure during pregnancy and fetal and childhood outcomes. JAMA. 2016; 316(9): 952-961

2016年9月6日に世界的に権威のある医学雑誌JAMAに胎児MRI施行における胎児、おおび出生後の小児への影響についての論文が発表になりました。
 本論文はカナダ、トロントのSt Michael’s Hospitalの産婦人科から報告された12年間1737件の胎児MRI(妊娠第1期)の児への影響に関する長期的調査研究です。
 この論文には以下の2つの重要な要旨が含まれています。

1) 妊娠初期に胎児MRIを行った児は、行っていない児と比較し、成長障害、視力、聴力、発がんなど明らかな影響は認められなかった。
2) 一方MRI造影剤であるガドリニウム製剤を併用して検査を行った胎児の追跡調査では、MRIを行っていない群と比較して、リユウマチ様皮疹、炎症性皮膚症状などの出現が有意に高かった。また新生児死亡、死産の頻度も高かった。

と報告しています。

 著者らは結語に妊娠第1期の胎児MRIは胎児に対し悪影響を及ぼすことはないが、ガドリニウム投与はいかなる妊娠時期においても上記リスクを伴うことを明記しています。

 本論文の趣旨は小児放射線医療に携わる我々にとって重要な情報と思われるため、本学会ホームページにて紹介、情報共有させていただきました。

国立成育医療研究センター 放射線診療部 医長
日本小児放射線学会 監事
宮嵜 治
2016年9月13日

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